第5章 装飾的植物: まえがき

第5章 装飾的植物  DECORATIVE PLANTS



ఔ まえがき ఔ




 この章のタイトルはちょっとまぎらわしいかも知れません。実際には装飾的菜園にあるすべての植物が装飾的であるわけです。もし美しくなければ、そこにはないのです。控えめな多くの野菜も、例えばニンジン、ビートルート、フェンネル、あるいはレタスさえ、すばらしい葉を持っていてボーダーで素晴らしく見えますし、グローブ・アーティチョークのように葉だけでなく花も美しいものさえあります。根が美しいものもあり、例えばカブの「ミラン・パープル・トップ」は露に濡れた春の朝のボーダーでは磨かれたルビーのようです。果樹では春に花が満開のリンゴの木、あるいは秋にたくさんの明るい色の果実がなった木ほど元気づけてくれる光景は他にないでしょう。

 ここでは装飾的なものだけを紹介するつもりですから、章のタイトルもこれで良いと思います。野生のリンゴ(リンゴ属の品種)とても魅力的で、その果実はジャムやジェリー、ワインなどを作るのにも利用できます。ひまわりは素晴らしい種が収穫できて、台所ではいろんな用途があります。ある種の植物の花、例えばイングリッシュ・マリゴールドなどはサラダにいれて食べられます。ポーチドエッグ(Limnanthes douglasii)はとても美しく、ハナアブも呼び寄せて、その幼虫はアブラムシを食べてくれるので害虫を減らしてくれます。

 この章では生産性よりも美的な価値で選んだ植物を紹介しています。これは言い換えれば美しい植物のデパートです。

 あなたが育てることのできるすべての植物を載せた本は世界のどこをさがしてもないでしょうが、私の勧める植物をひとつのきっかけにしてもらえれば良いと思います。私が紹介している栽培法に適した植物を今後も発見していくと思いますし、この本の出版から長い年月がたっても新しい植物との出会いがあると確信しています。ですから、すべてを網羅するわけではありません。私のアイデアがこの種の庭の植栽の原則を明らかにして、ほかの植物も試してみたくなるようにできればと願っています。

 非常に多くの「一時的な」植物を植えます。例えば耐寒性の一年草、半耐寒性の一年草、そして耐寒性の弱い多年草です。これらを植える理由は、すぐに効果的なディスプレーとなり、長持ちもすること、野菜のローテーションの一部にも利用できることなどです。狭い区画でも、例えば春は6月までキャベツを育て、夏はサルビアに植え替え、その隣には冬から春はパンジーを植え、5月の末にはズッキーニに植えかえたりできます。そうやって輪作システムを引き延ばして病気のリスクを減らし、土の中の栄養をうまく利用して季節ごとに庭はまったく違った場所になるのです。決して退屈しないと確信します。