第3章 庭づくりと栽培: クローシュ


第3章 庭づくりと栽培 Construction and Cultivation 


ఔ クローシュ CLOCHES ఔ



 狭い庭で野菜の収穫量を増やす方法は2つあります。ひとつは深く耕されていて決して足を踏み入れない高度に肥沃な土で育てる方法で、もうひとつは野菜が育つ期間を前後に長くすることです。春の早期から育てて、秋から冬の初めまで続けることです。温室はもちろんとても役に立ちますが、クローシュを使うのもよい方法です。

 クローシュは何世紀もの間、土を暖め植物の周囲の気温を上げて収穫を早めるのに使われてきました。また病害虫の被害や急激な天候の変化から守ってくれる利点もあり、クローシュは大変役に立つものです。

 夏の間でさえ寒さに弱いトマトやピーマン、ナスなどを守るのに出番があります(暑くなりすぎないように十分な注意は必要です)。秋にはまた出番が来て、トマトの成熟やレタスやニンジンの最後の生育を促したりします。

 装飾的菜園には現代のクローシュは似合いません。第一に長い畝を作って栽培するようにつくられていますので形が合いません。しかも機能優先ですので美しくありません。

 欲しいのは古風なベル型のクローシュ(もともとの語源であるベル型の帽子の形)か、さらに良いのはビクトリア時代のランタン型のものです。いずれも庭の見栄えを良くし、正しい形をしています。残念ながらこの2つとも現在は入手困難ですが、まずまず魅力的なものなら自分でつくることもそうむずかしくはありません。


モダンなランタン型のクローシュ The modern lantern cloche

 このクローシュのデザインはビクトリア時代のものに基づいています。素材は最も現代的な硬質塩化ビニル板で、ホームセンターで簡単に手に入ります。

 塩ビ板を買うときに専用のカッターも買い、それでカットします。圧着する接着剤で接着して、屋外用の丈夫な防水テープでしっかり保持します。接着するのはちょっとむずかしいですが、いちばん良い方法は、4枚の板をネジ止めしてぴったりクローシュの中に納まるサイズにつくったジグをつくることです。片手で持ち上げられるようにハンドルも取り付けます。真鍮製の引き出しのつまみが魅力的で、クローシュの頂点から中の小さな木片に向けてねじ込みます。