第5章 装飾的植物: 手の届かないところの植物

第5章 装飾的植物  DECORATIVE PLANTS



ఔ 手の届かないところの植物 OUT-OF-REACH PLANTS ఔ




 手の届かないというのは買う余裕がないという意味ではないのですが、そういった植物も少しはあるかもしれません。すでに説明してきたように、装飾的な菜園の花壇で生産性を上げるには、花壇に踏み入らないようにします。すべての花壇がまっすぐで幅が120cmなら、その両側の園路から花壇の中央まで手が届きます。しかし整形的に花壇が作られていない場合は、園路から手が届かない所がでてきます。そういう場所こそ背の高い灌木や多年草を植え付けるようにします。というのは、年に1回か2回の手入れで済むからです。毎年春に肥料をやってマルチングをしてやり、時に選定をしてやるぐらいで、手入れはそれだけです。

 このスタイルの庭に植える永続的な植物を選ぶときに、念頭に置いておかなくてはいけない制限があります。花と野菜を一緒に植えようとすれば(それが結局このスタイルの庭の特徴なのですが)、酸性土壌を好む植物は、たとえ庭の土壌が酸性だとしても、避けなければなりません。その理由は、主に野菜がですが、酸性土壌では育ちにくいからです。実際、肥沃さを維持するために、私は定期的に石灰をまくことを推奨しています。ですから、酸性土壌を好む植物には決して良い環境ではありません。

 シャクナゲ、アセビ、夏咲きのヒース、などの植物を植える際には、鉢植えにするか、あるいは庭の土壌が酸性の場合には野菜を育てる場所から離れているところに地植えにするようにします。

 繰り返しますが、この場所に適した植物は何千にも及びますから、私の庭で特に良いと思った植物に限って紹介します。庭がそれほど広くない場合は、まっすぐ育つ植物を選ぶのが賢明です。そうすれば花壇の前方まで広がったりしないでしょう。


日なた向きの灌木 Shrubs for sunny positions


メギ属 Berberis

 日なたに向いたメギの品種がいくつかあります。気をつけなくてはならないことは、辺りを占領してしまうような、成長が旺盛すぎるものを選ばないことです。

 B. thunbergii 'Atropurpurea' はおよそ180㎝の高さに成長し、輝く赤いはが秋には鮮やかなオレンジ色になります。少し小型の品種が B. t. 'Atropurpurea Nana' で、60㎝ほどにしか成長せず、B. t. 'Aurea' も同じぐらいの小型です。私のお気に入りは 'Red Chief' で、幹はまっすぐ成長し、枝は赤い葉をつけて枝垂れます。以上の品種はいずれも春に黄色い花をつけ、赤い実がなります。

 B. linearifolia 'Orang King' もメギのよい品種で、まっすぐに成長します。光沢のある常緑の葉をつけ、4月に鮮やかなオレンジ色の花を咲かせ、180㎝ぐらいまで成長します。


Caryopteris clandonensis 'Blue Spiraea'

 このカリガネソウ属の品種は高さがおよそ90㎝ほどに成長し、灰色の葉をこんもりと茂らせます。9月から10月に青い花をつけます。


メキシカン・オレンジ Choisya ternata

 この種の庭には広がりすぎる品種が多いですが、新しく紹介された'Sundance'という品種は理想的です。高さと幅がいずれも90㎝を超えず、その葉は輝く黄金色です。


ミズキ属 Cornus

 この位置に適した種類のミズキがいつくかありますが、大きく広がりすぎるものもあるので注意が必要です。しばらくしたら、掘り上げて移植しなくてはいけないかもしれません。しかし、挿し木で容易に増やすことができます。

 サンゴミズキ C. alba 'Westonbirt'は赤い茎の最良の品種ですが、'Spaethii'は夏に斑入りの黄金色の葉が加わります。

 オウゴンミズキ C. stolonifera 'Flaviramea'は明るい黄色の茎で、上記の品種と一緒に植えると冬はとても美しくなります。

 いずれの品種も高さは180ほどに成長します。


エニシダ属 Cytisus

 花数が多く、日当たりを好みます。寿命は概して短いのですが、花後に軽く切り戻すと寿命を延長できます。

 C. praecox、別名ウォーミンスター・ブルームは小さな種類の中で最良です。'Allgold'、'Alba' あるいは'Gold Spear'という品種をさがしてください。いずれも120㎝ほどに成長します。


ウツギ属 Deutzia

 この植物は有用ですが、'Mont Rose'のようなこじんまりと成長する品種に限ります。この品種は大きな濃いピンクの花を6月に咲かせます。およそ1.8mに成長します。D. elegantissima 'Rosealind' は同じくらいの高さにまっすぐ成長し、5月から6月にアーチ型の枝先にピンクの花をつけます。


ムギワラギク属 Helichrysum lanatum

 およそ60㎝ほどの高さの丸い茂みをつくり、葉は銀色を帯び、少しラベンダーに似ます。6月に黄色い花のおまけつきです。


フヨウ属 Hibiscus syriacus

 木性のホリホックとして知られ、高さ180㎝ほどのコンパクトな茂みをつくり、ホリホックのような花を晩夏に咲かせます。青やピンク、白などいくつかの色を選ぶことができます。


オトギリソウ属 Hypericum

 ほぼすべてがこの場所に向いています。しかしセイヨウキンシバイ H. calycinumは伸びすぎる枝がたくさん出すぎるのでやめたほうがよいでしょう。

 H. indorum 'Elstead'が最良の品種のひとつです。高さ90㎝ほどの灌木に育ち、夏はずっと黄色い花が咲き続け、秋には明るい赤色の実がなります。少しさび病になりやすいようです。

 H. 'Hidcote'はもっとも人気のある品種です。120㎝ほどに成長し、大きなソーサーの形をした黄色い花が夏中咲きます。こちらはさび病に強いようです。


モチノキ Ilex

 一年中葉が美しく、どんなところでも育ちます。品種を選ぶときは、I. meserveae 'Blue Angel'やI. m. 'Blue Princess'のような青みがかった枝と葉、そして鮮やかな赤い実ものを選びましょう。150㎝ほどに育ちます。二つとも雌の木で、もし2本の木が欲しい場合には、雄の木であるI. m. 'Blue Prince'を選べば、前の二つの雌の木のいずれにも受粉木として使えます。


オオバイボタ Ligustrum ovalifolium

 'Aureum'はセイヨウイボタ Golden Privetとして知られ、あまり評価は高くありませんが、素晴らしい小さなシュラブを形作り、どんなサイズにも剪定できます。厳しい冬のところを除けば、常緑です。


Lonicera nitida 'Baggesen's Gold'

 しばしば生垣にも使われる黄色い葉がすばらしい灌木で、刈り込んで大きさを調整します。


Olearia hastii

 オレアリア属の中では最も人気があり、120㎝ほどの高さの丸い茂みをつくり、香りのある白い花を7月から8月に咲かせます。もし雨風からまもらえる場所があれば、O. scilloniensis のほうがもっと良いでしょう。大きさは同じぐらいですが、魅力的なグレーの葉をもち、初夏には白い花が葉を隠してしまうほど咲き続けます。


ボタン Paeonia suffruticosa

 ボタンは葉だけでも素晴らしく、エキゾチックな印象を加えるので、植える価値があります。新しいアメリカや日本の品種が紹介されていて、その多くは素晴らしい花色に加えて花びらのエキゾチックな斑点や模様を持っています。広い範囲から選べ、花色も白に黄色いしべのものから、明るい緋色、光沢のあるピンクなどがあります。高さは180㎝ほどまで成長します。


バイカウツギ Philadelphus

 まがい物のオレンジとも呼ばれるバイカウツギは概してこの用途には大きくなりすぎますが、2つの例外があります。'Manateau d'Hermine'という品種は高さ90㎝ほどに茂り、6月から7月にかけて甘い香りのある白い花をつけて、植えてみる価値が十分にあります。P. coroarius 'Aureus'という品種は明るい黄色の葉をもち、どこの庭でも明るくしてくれます。およそ120㎝に成長しますが、好みの大きさに切り戻せます。


フロミス・フルティコサ Phlomis fruticosa

 別名、エルサレム・セージとも呼ばれ、75㎝ほどに成長して灰色がかった葉はセージに似ています。6月から7月に明るい黄色の花の塊を作って咲きます。


ポテンティラ・フルティコサ Potentilla fruticosa

 この仲間や交配品種は長期間花を咲かせるので貴重です。煉瓦色の赤い花の'Red Ace'、淡い黄色の'Katherine Dykes'、そして白い花を咲かせる'Abbotswood'などから選べます。いずれも高さは60㎝ほどに成長します。


バラ Roses

 バラは花壇の中央にはぴったりの植物で、私は木立性のものをよく使ってきました。シュラブ性のバラと呼ばれているバラの多くは高さも幅も少し大きくなりすぎますが、イングリッシュローズは理想的です。オールドローズとモダンローズを戻し交配した結果、昔のコテージ・ガーデンのバラの姿と、繰り返し咲く性質とを兼ね備えています。あらゆる色や花の形から選ぶことができます。私のお気に入りはすばらしい濃い黄色の花の'Graham Thomas'と、ブラッシュ・ピンクの花の'Sharifa Asma'です。どちらも強い芳香があります。


シモツケ属 Spiraea

 この目的に適した植物がいくつも含まれる大きなグループです。

 S. argutaは、春に咲くウエディング・リース・プラントと呼ばれ、180㎝ほどに成長し、4月から5月に白い花々が泡のように全体を覆って咲きます。

 S. bumaldaは夏に咲きます。'Anthony Waterer'という品種は深紅の大きな平たい花の塊をつくって7月から9月に咲きます。'Goldflame'という品種は赤い斑点のある黄金食の葉で、7月に茜色の花をつけます。この両者とも75㎝ほどに育ち、高さを制限するために短く刈り込むことができます。


ハシドイ属 Syringa

 ライラックはとても人気がありますが、一般にこの場所には大きすぎます。ただ一つの例外は、S. velutinaで、コリアン・ライラックとも呼ばれます。高さは150㎝ほどで、小さく保つために刈り込みができます。香りのよいライラック・ピンクの花をたくさん6月から7月に咲かせます。


ガマズミ属 Viburnum

 このグループにはたくさんの変化に富む植物が含まれます。V. bodnantense 'Dawn'はもしスペースが広ければ植えてみたい品種で、強力な香りのあるピンクの花が房をつくって冬から早春まで咲きつづけます。およそ210㎝ほどの高さになります。花壇の中央に収まる大きさで春に花をつける私の好きな品種としてV. juddiiがあります。あまり香りのピンクの花を4月から5月に書かせ、高さも150㎝ぐらいです。


日陰向きの灌木 Shrubs for shade


メダケ Arundinaria

 竹は花壇には通常は大きすぎ、また広がりすぎますが、いくつか例外もあります。A. viridistriata (Pleioblastus viridistriataとも)は、高さ180㎝ほどの紫色の幹と深い緑に黄色い縦筋のはいった葉が特徴です。


アオキ Aucuba japonica 'Crotonifolia'

 アオキの一番よい品種です。150㎝ほどに成長するよく知られた常緑樹で、葉は金色の斑入りです。


メギ Berberis thunbergii

 メギの仲間も日陰でも育ちます。日なたの灌木のところに書いています。


ミズキ属 Cornus

 ミズキの仲間も日陰で大丈夫です。日なたの灌木の項に書いています。


シャリントウ属 Cotonester

 日陰によい植物ですが、一般にグランドカバーに使われ、花壇には広がりすぎます。しかし例外としてC. hybridus 'Pendulus'という品種があり、小さな枝垂れの立ち木で、秋には明るい赤色の実がつき、冬には鳥たちの餌になります。冬も通常は光沢のある緑の葉が残ります。


ナワシログミ「マキュラータ」 Elaeagnus pungens 'Maculata'

 高さ150㎝程度の丸い茂みをつくります。明るい緑と黄金色の混じった葉は暗いコーナーを冬でも明るくしてくれます。


ヤツデ Fatsia japonica

 通常は室内で育てられますが、実際には風の当たらない所なら耐寒性もあります。光沢のある緑のヤシの葉に似た常緑性での葉がエキゾチックな印象を庭に加えます。およそ150㎝ほどに育ちます。


アジサイ Hydrangea

 アジサイの仲間は明るい日陰で素晴らしい植物で、よく知られたモップの頭の形のH. macrophyllaだけに限定するべきではありません。アジサイは素晴らしい灌木で、150㎝程度まで成長して大きなピンクや赤あるいは白い(青は酸性土壌を要します)花を7月から9月ごろ咲かせます。ガクアジサイは平たい花序をもち、その中央には円盤状の小さな花が並び、まわりを異なる色の装飾花が丸く取り巻きます。この場所には同じぐらいの高さに成長するヤマアジサイH. serrataも適しています。H. s. 'Grayswood'は素晴らしく、中央が青やピンクで、まわりの装飾花は最初白から次第に濃い赤に色が変わっていきます。


オトギリソウ属 Hypericum

 この仲間はいずれも日陰で成長します。すでに日なたの灌木の項で紹介しています。


モチノキ Ilex

 モチノキの仲間は日陰でもよく育ちます。日なたの灌木の項に書いています。


ヒイラギナンテン属 Mahonia

 魅力的な常緑の葉と冬から春に咲く甘く香る黄色い花の小枝が特徴です。中でも、M. 'Charity'は冬に花が咲き、180㎝ほどまで成長し、'Buckland'は同じように黄色い花に加えてより長くて硬い葉が特徴で、お勧めです。


セイヨウベニカナメモチ・レッドロビン Photinia fraseri 'Red Robin'

 ニュージーランドから紹介された傑出した品種です。常緑で180㎝程度まで成長し、その最大の特徴は鮮やかな赤い若葉です。大きさを保つためには若葉の色が緑になったあとに刈り込みを行います。新しい赤い若葉がまた出てきます。


ミヤマシキミ Skimmia

 常緑で、主に花のために育てられます。もっともよい品種の一つはS. japonica 'Rubella'で、冬はずっと赤い芽がきれいで、黄色い葯をもつ甘い香りの白い花が咲きます。高さは90~150㎝です。


ビバーナム・ダビディ Viburnum davidii

 ハンサムな常緑で高さは約75㎝。長い光沢のある葉は5月の白い花を引き立たせます。何本か一緒に植えて異花受粉すれば明るい青色の実がつきます。


日なた向きの耐寒性多年草 Hardy perennials for sunny positions


 多年性草本はとても扱いやすく、この種の庭には便利です。灌木は根をしっかり深く張る必要があり、ずっと同じところで育つ必要がありますが、ほとんどの耐寒性の多年草は何年毎か植え替えても生き続けます。ですから多年草は自分が良いと思うところに植えつけて、もし失敗したり、野菜やフルーツのために当初考えていたより広いスペースが必要になったりしても、掘り上げて植え替えればよいだけのことです。そう考えると人生はよりリラックスしたものになります。

 ほとんどの多年草は冬には地上部は枯れるので、春まで何も見えません。しかしそれが欠点だとは思えません。冬は普通ほかのことを考えるようになるので、というのは外ではほとんどすることがないからですが、庭にはあまり注意を払わなくなります。そういうわけで、春に最初に新しい葉がでてきたり、新しい年の庭が徐々に展開するのを見るスリルは冬の退屈も意味があるように思わせてくれます。といっても、やはり冬の庭をすっかり何もないようにはしたくないので、灌木や樹木も植えておくのは確かにとても良い方法です。


ノコギリソウ属 Achillea

 ヤロウは育てるのが簡単で、羽のような葉と平たい頭状花をもつ魅力的な植物です。間違いなくA. 'Moonshine'という品種が最良で、銀色の葉をもち明るい黄色の花が夏中咲きます。新しいドイツの交配種も探してみる価値があります。高さ60㎝程度に育ちます。


アガパンサス Agapanthus

 このアフリカのユリはグラスのような葉をもち、夏に青い色の魅力的な花のかたまりを咲かせます。保護された場所が必要で、完全な耐寒性はありません。一番よい品種はA. 'Bressingham Blue'と透き通った白色のA. 'Bressingham White'でしょう。高さは60~90㎝です。


アリウム Allium

 このタマネギの仲間にはボーダーの真ん中あたりに適したものが含まれますが、前のほうがよい品種もあります。アリウム・アフラチュネンセ A. aflatunenseは90~120㎝の高さの素晴らしい植物です。春の終わりに小さなライラック色の花が球状に集まって咲きます。葉は花が咲いた後すぐに枯れます。アリウム・ギガンチューム A. giganteumも概ね同じですが、花は夏の後半に咲きます。高さは120~150㎝にも達します。A. bulgaricumは90㎝ほどまで育ち、より大きなベルの形をした振り子のような花で、色は紫がかった緑色です。花後の種のつき方もとても魅力的です。


アンチューサ・アズレア Anchusa azurea

古くから愛されてきた濃い青色の花を咲かせる庭の植物で、巨大なワスレナグサのような枝垂れる花茎に花をつけます。もっともよい品種の一つが'London Royalist'で、豊かな青の花です。90㎝ほどに育ち、花期は6月から8月です。


アスフォデリネ・ルテア Asphodeline lutea

ツルボランの一種で硬い光沢のある葉の茂みから90㎝ほどの高さの花茎を伸ばして香りのある明るい黄色の花をつけます。シード・ヘッドもとても魅力的です。


シオン属 Aster

 ミケルマス・デイジーとも呼ばれるよく知られた遅咲きの植物です。うどん粉病にかかりやすい欠点があります。普通ミケルマス・デイジーとよばれているA. novi-belgii系の品種に比べると、A. novae-angliaeの品種は病期に強いようです。高さは60~150㎝程度で、品種により異なります。たくさんの色合いから選ぶことができます。古い品種のA. frikartii 'Monc'はラベンダー・ブルーのキク科の花で7月から10月に咲きますので、これも検討してみてください。


アストランティア Astrantia major

 アストランティアは面白い形をした花を、緑がかった白やピンクやスモモの赤色で咲かせます。60㎝ほどの高さになります。A. m. 'Sunningdale Variegated' という品種は魅力的な黄色い斑点の入った葉が特徴です。純粋なローズ・ピンクの襟をもつ淡いピンクの花をつけるA. maximaもついでに調べてみてください。


カンパニュラ Campanula

 カンパニュラの中で欠かすことのできない3つの種類があります。カンパニュラ・ラクチフローラ C. lactifloraは120~150㎝に成長し、丈夫な花茎の上にライラックのような花の房をつけます。カンパニュラ・ラティフォリア C. latifoliaは120cmほどの高さになり、花茎に紫か白の筒状の花をつけます。種をまき散らしますから、花が終わったらすぐに摘み取るようにします。カンパニュラ・パーシフォリア C. persicifoliaは90㎝ぐらいになり、ライラック色や白のベルの形の花をつけます。


ヤグルマギク Centaurea dealbata

 多年生のヤグルマギクは育てやすく夏に長く咲き続けます。'Steenbergii'という品種は濃いピンクの花をギザギザした銀色がかった葉の上に75㎝ほどの花茎を伸ばして咲かせます。


キク Chrysanthemum

 秋に花を咲かせるように育てる価値のあるいくつかの耐寒性の種類があります。八重咲きの深紅の花の'Anastasia'や、オレンジ色の'Peterkin'はさがしてみる価値があります。C. ruvellumは
よく花が咲き、品種によりいろんな色もあります。いずれも背丈は60~90㎝ぐらいに成長しキク科の花をつけます。


イトバハルシャギク Coreopsis verticillata

 とても育てやすく、高さ60㎝程度の高さで直立した茂みをつくります。細く分かれた葉をもち、夏から秋にかけて長期間にわたり黄色いキク科の花をつけます。


クロコスミア Crocosmia

 この目立つ多年草のいくつかの新しい品種は植える価値があります。葉はまっすぐな紐状で、花茎は弓なりになって先端に赤や黄色、オレンジのいろんな色合いの人目を引く花をつけます。


デルフィニウム Delphinium

 装飾的菜園にはなくてなならないものです。120㎝にもなる長い花茎に青や白の花をつけます。ピンクの花もありますが、印象はやや弱いです。


エキナセア・プルプレア Echinacea purpurea

 かつてルドベキアとも呼ばれ、それに似ています。中央の突起が大きいたくさんの紫のキク科の花をつけます。白い花をつける'White Luster'という品種もあります。


ルリタマアザミ Echinops ritro

 ルリタマアザミはグレーのギザギザした葉とメタリックな青色の球形の頭花が先端に咲く120㎝ほどの花茎からなり、とても役に立ち、育てやすい植物です。


エリンギウム Eryngium

 エリンギウムはギザギザの葉をもち、青い花をつけます。ドライにするのに向いています。E. oliverianumは素晴らしい交配種の一つで、60㎝ほどの背丈でとげだらけの花をつけます。


ユーフォルビア Euphorbia

 ユーフォルビアは扱いやすい植物で、完全な日向ではもちろん、日陰でも育ちます。E. characias 'Margery Fish'は冬も綺麗な葉をつけ、硫黄色の花の目立つ花茎をつけ、特に素晴らしい品種です。およそ105㎝ほどに育ちます。


ダンゴギク Helenium autumnale

 ボーダー花壇の中央に最適のいくつかの素晴らしい交配種があります。'Butterpat'は純粋な黄色のキク科の花で、中央は褐色です。一方'Moerheim Beauty'は豊かなブロンズ色の花をつけます。8月から10月に花が咲き、とても貴重な花です。高さは120~150㎝です。


ブルーオートグラス Helictotrichon sempervirens

 葉の細いグラス類です。広がっていくことなく、ブルーグレーの直立する葉とグレーの揺れ動く花茎が特徴です。高さは90~120㎝です。


キスゲ Hemerocallis

 育てるのはとても簡単です。葉は長くてひも状で、時に香りのある花はユリの形をしています。幅広い花色があるので、カタログを見るのが最良の策です。背丈は60~90㎝です。


ユリ Lilium

 たいていの交配種のユリは日なたでよく育ちます。それぞれの品種でいろいろな色の印象的なトランペットの形をした花をつけまる。L. regaleは強い香りがあって育てやすい品種です。高さは60~180㎝です。


ルピナス Lupinus

 ルピナスはとてもよく知られていて説明は不要ですが、このタイプの庭ではとても貴重な植物です。魅力的な切れ込みのある葉には雨や露の水滴がとまります。品種により単色や色のコンビネーションの花をつけた立派な花茎が立ち上がります。種から簡単に育てられますが、思う通りのタイプや色にはならないものです。


センノウ Lychnis

 アメリカセンノウ L. chalcedonicaは古い時代の庭の植物で、植えてみる価値があります。目を引く真っ赤な色の平らな花のかたまりが90㎝ほどの高さの花茎の上に咲きます。スイセンノウ L. coronaria、別名Dusty Millerはグレイのフェルトのような葉のかたまりに赤、ピンク、または白い花をつけます。どちらの花も盛夏から晩夏まで咲きます。


ヤグルマハッカ Monarda didyma

 ベルガモットとしてよく知られています。フード状の花はちょっとセージに似ていて、90㎝ほどの花茎の上に咲きます。白から赤、そして濃い紫の花までいくつもの素晴らしい交配種があります。花の時期は6月から9月までです。


シャクヤク Paeonia

 シルクのキャベッジローズに似たエキゾチックな雰囲気の花を、品種によって濃い赤からピンクや白色で咲かせます。花の時期はだいたい晩春から初夏です。葉はとても魅力的で、花がなくても存在価値があります。高さは60~90㎝。シャクヤクは移植を好みません。


ペンステモン Penstemon

 夏じゅう咲き続けるような素晴らしい植物です。下垂する釣り鐘の形の花が、濃い紫から赤、ピンク、そして白い色でたくさんの数で咲きます。高さは30~90㎝です。


フロックス Phlox

 これも育てやすい古いコテージガーデンの花の一つで、この庭には必ず欲しいものです。ほとんどの園芸店でクサキョウチクトウ P. paniculata を扱っていると思います。ピンク、オレンジ、赤、白といろんな色の花の品種があり、しばしば花の中心に魅力的な「目」があります。線虫類がつきやすいものもあり、評判のよいナーセリーでルート・カッティングから育てた苗を買うようにしてください。フロックス・マキュラータ P. maculata も探してみたい品種です。やさしい花色で少し小さな花ですが、この種類のボーダー花壇には最適です。どちらも高さは90㎝ほどに成長し、7月から9月に花をつけます。


フィゲリウス Phygelius

 耐寒性のフクシアに少し似た花です。花は長い筒状で、たくさんの数で夏に咲きます。もっともよい品種の一つはP. 'African Queen'で、喉の部分が黄色のピンクの細長いトランペット形の花を咲かせます。75㎝ほどまで成長します。


ダイオウ Rheum

 もちろんボーダー花壇には食用にルバーブ育てていくと思いますが、これと一緒にして似合ういくつかのオーナメンタルな種類もあります。R. 'Ace of Hearts'は60㎝を超えることはなく、幅の狭いとがった赤い葉をもち、花の時期には高さ120㎝の花茎を伸ばしてピンクの花をつけます。


ルドベキア Rudbeckia

 もし私のようにキク科の花が好きなら、アラゲハンゴンソウ Black-Eyed Susan (R. hirta)やその関連種は欠かせないでしょう。R. fulgida 'Deamii' は黒い花の中心のまわりに明るい黄色の花びらがあり、長く咲き続けます。R. f. 'Goldsturm' は特に良い品種です。およそ60㎝に成長します。


タカネマツムシソウ Scabiosa caucasica

 コテージガーデンの植物としてよく知られたこの花は花びらの輪の中の針刺しのように見えます。いくつかのよい品種があり、私の好きなS. 'Clive Greaves'は愛らしいラベンダー色の花をつけ、色の濃いs. 'Moerheim Blue'、あるいはS. 'Loddon White'などです。いずれも60㎝ほどに育ちます。


カラマツソウ Thalictrum aquilegifolium

 カラマツソウは繊細なライト・グリーンのオダマキに似た葉をもちます。花は紫やライラック色を帯びた綿毛のようで、90㎝ほどの花茎の上に咲きます。


バーバスカム Verbascum

 バーバスカムのいくつかは二年草ですが、多年草もあります。V. chaixii は中心が紫色をした小さな黄色い花を90㎝ほどの花茎につけます。白い花をつけるV. c. 'Album' もあります。紫のバーバスカム V. phoeniceumはたくさんのよい交配種を作りましたが、本当の多年草ではありません(定期的にルート・カッティングで苗を増やせば育てる価値があります。)


日陰向きの多年草



トリカブト Aconitum

 トリカブトは修道士の頭巾ににているので英語ではMonkshoodと呼ばれます。育てやすく、120~150㎝の花穂を伸ばして青やピンク、白のいろんな色合いの花を咲かせます。毎年掘り上げて間隔を広げて植えなおすとうまく育っていきます。A. napellusはもっともよく育てられている種類で、たくさんの交配種の親になっています。A. septentrionale 'Ivorin'は90㎝ほどに育ち象牙色の花をつける品種です。


シュウメイギク Anemone hybrida

 しばしばA. japonicaとして売られているJapanese Anemone(シュウメイギク)は夏の終わりから秋までずいぶん長い期間花を咲かせます。白やピンクの色合いのとてもかわいらしい一重あるいは半八重咲きの花です。古くからある'Honorine Jobert'は真っ白な花で中央は黄金色で素晴らしい品種です。およそ150㎝に育ちます。


オダマキ Aquilegia

 オダマキは素晴らしいオールド・コテージガーデンの植物で5月から6月のボーダー花壇を彩ります。葉は繊細に分岐した明るい緑色で、花は魅力的な釣り鐘の形をしていて後ろに伸びる突起があります。花色も大変幅広く、2色の花もあります。高さは60~90㎝です。


アスチルベ Astilbe

 この愛らしい植物は魅力的な葉を茂らせ、濃い赤からピンク、そして白までいろんな色の羽毛状の花を咲かせます。高さは60~120㎝ぐらいです。また矮性の背の低い品種もありますが、もちろんボーダーの中間には向きません。


ブルンネラ・マクロフィラ Brunnera macrophylla

 4月から5月にワスレナグサのような花を咲かせる素晴らしい植物です。花が終わっても、ハート形の大きな葉が印象的です。(斑入りのhン種もありますので、ぜひ探してみてください。)高さは約60㎝。


サラシナショウマ Cimicifuga

 サラシナショウマはシダのような魅力的な葉をもつ優美な植物です。時に150㎝にも伸びる支柱を必要としない針金のような花茎に白かクリーム色のボトル・ブラシのような形をした花をつけます。


ケマンソウ Dicentra

 D. spectabilisはDutchman's breeches(オランダ人の半ズボン)、Bleeding Heart(出血している心臓)、あるいはLady-in-the-Bath(浴室の女性)などとも呼ばれる、なくてはならない素晴らしいコテージ・ガーデンの植物です。春の早い時期に赤白あるいは真っ白な繊細な形の花をつけます。素晴らしい交配品種として、深紅色の花を咲かせる'Bacchnal'や、赤い花を大変長期間咲かせ続ける'Luxuriant'などもあります。

 D. eximia 'Adrian Bloom'はグレイがかった色の葉で、赤い花をたくさんつけます。たいていの品種よりは日光にも少し強い品種です。


ジギタリス Digitalis

 ふつうのキツネノテブクロは二年草ですが、育ててみたい多年草もいくつかあります。たいていは60㎝ぐらいまで大きくなり、そこから典型的なキツネノテブクロの花穂を伸ばします。D. grandifloraはクリーミー・イエローの花を、D. lanataは美しい際立った黄色、紫そしてグレーの花をつけます。D. mertonensisは銅色がかった赤系の色です。あまり長くは生きませんが、種から容易に育てられます。


ゲラニウム Geranium

 フウロソウ属を含めたのは、一番難しい環境である乾いた日陰でよく育つ種類があるからです。しかし、きっと毎年のように掘り上げたり、株分けしたり、捨ててしまったりする必要がでてくるでしょう。とても急速に広がるタイプがあります。日陰で一番の品種はG. phaeumで、別名Mournig Widowとも呼ばれています。およそ60㎝ぐらいに育ち、うつむいて咲く濃い紫がかった茶色の花を咲かせます。


ヘレボルス・コルシカス Helleborus corsicus

 愛らしいクリスマスローズのほとんどはボーダー花壇の前列近くにもっとも適していますが、この仲間は60㎝ほどまで成長します。魅力的に分葉して尖った濃い緑の葉の茂みをつくります。緑色のカップの形の花を年の初めに咲かせます。


ギボウシ Hosta

 ギボウシのほとんどはボーダー花壇のいちばん前近くに適しますが、背丈が大きくなる種類もあります。魅力的な葉のために育てられますが、高い花茎にフジ色やラベンダー色の花をつける楽しみもあります。アメリカから紹介されたいくつかの良い品種があり、'Big Daddy'は強い青色系の葉をもち、'Royal Standard'は緑の葉に白い花を咲かせます。H. sieboldianaは大型の素晴らしいブルーグレー色の葉が印象的です。

アマドコロ属 Polygonatum

 ナルコユリ(英名ではソロモンの封印 Solomon's Seal)はよく知られたコテージ・ガーデンの植物で、このタイプのボーダー花壇に最適です。もっともよく育てられている品種はP. hybridumで、ときどきP. multiflorumとして売られています。90㎝ほどになるアーチ型の茎をもち、そこからぶら下がる釣り鐘のような白い花をつけます。もっと良い品種と私が思うのは、P. canaliculatumで、混乱させて申し訳ありませんが、これはP. giganteum、あるいはP. commutatumとして売られていることがあります。なんと名づけてあるにしろ、これは150㎝ほどまで成長し、晩春に素晴らしい姿を見せてくれます。


ダイオウ Rheum

 大きなルバーブは日なたでも日陰でもよく育ちます。前の項に書いています。


ヤグルマソウ Rodgersia

 大きな手のような大胆な葉をもつ見事な植物で、若葉の時にブロンズ色がかった葉のものもあります。頭状花は綿毛のようで、アスチルベの花に似ていて、色はクリーム色かピンクです。一番いい品種はR. pinnata 'Superba'で、照りのあるブロンズ色の葉を持ち、明るいピンクの花をつける90㎝ほどの花茎が伸びます。