第8章 樹木の果実: スモモとアンズ

第8章 樹木の果実  TREE FRUIT



ఔ スモモとアンズ PLUMS AND APRICOTS ఔ



 スモモとアンズは同じように育てられるので一緒のグループにしました。一番大きな違いは、スモモは強くて耐寒性ですが、アンズは南向きの壁にファン仕立てにするのがベストである点です。私はスモモもファン仕立てにしますが、理由は少し違います。
 おそらくこの果樹の最大の敵はウソで、庭に来てもらおうとしていた鳥たちの一つです。しかし冬や早春に枝の新芽をあっという間にはがしてしまうのです。大きな果樹にネットをかけるのは大変ですが、壁やフェンスに誘引している場合は簡単です。スモモはまだ霜のおそれのある4月に花をつけるので、洋ナシやモモの項で紹介したシートをかける方法が役に立ちます。そういう訳で、スモモを東や西向きの壁に仕立てるのもよいでしょう。春の花の時期は綺麗ですし、夏の葉の緑、そして実もつけて、フェンス際に植える価値のある果樹です。

品種 Varieties


 一本だけで実をつける自家稔性の品種をおすすめしますが、それ以外の品種を選ぶ場合は二つの品種を一緒に植える必要があります。

'Denniston's Superb'
 早生の品種で緑に赤みがさした味の良い実をつけます。花も早春に咲くので霜に対する対策が必要です。

'Czar'
 料理用に分類されている品種ですが、木からもいですぐに食べるとおいしくて私は好きです。花は遅く咲き、霜にも少し強いので、寒い地方の庭に適します。果実は大きくて濃い紫色で、酸味があります。8月の初めに収穫です。

'Victoria'
 料理用にも生食にも素晴らしい一番人気のある品種です。果実は大きくて収量も多いのが特徴です。9月の初めに熟します。

'Marjorie's Deedling'
 料理用に分類されますが生で食べてもおいしい品種です。花が遅く咲くために霜の被害にあいにくい利点があります。大きい濃い青の果実で9月から10月初めに収穫です。


'Moorpark'
 もっとも人気のあるアンズの品種のひとつで、大きくて丸い黄色の果実で果肉は黄色です。これも一本だけで実をつけます。


台木 Rootstocks


 アンズはふつうSt Julien Aという台木に接がれ、スモモより成長が旺盛でないのでファン仕立てに向きます。しかし、スモモの木は大きくなりますので、もし広い庭のスペースがないならば、新しい台木のPixyをすすめます。これは木の大きさが半分から2/3と小さく育ちます。


植え付け Planting


 スモモはリンゴと同じ方法で植え付けますが、すでに述べた注意点に留意してください。アンズはモモと同じように水はけが大切ですから、モモを植え付けるときと同じように土づくりが大切です。


剪定 Pruning


 ここでも、すでに仕立てをされた苗木を購入して始めるのが時間と労力を節約する賢い方法です。果樹が専門のナーセリーから入手可能です。
 スモモは銀葉病というカビの病気にかかると衰弱して枯れることがあります。カビの菌は切り口から入りますから、木が旺盛に成長していて切り口もすぐにふさがるようなときに行うべきです。4月から8月末までが適期です。
 洋ナシで述べたように側枝を棒に結んで扇形に誘引します。4月には壁に向かう枝や手前に向かう枝を切り、壁をおおうように枝を誘引します。スペース一杯まで枝が伸びたら先端をピンチします。



手入れ Cultivation


 木をネットで鳥から保護し、冬はウソを寄せ付けないようにし、夏は果実をねらう鳥から守ります。とくにアンズでは霜から花を保護します。毎春に十分な堆肥を入れて湿度を保つようにします。


収穫 Harvesting


 瓶詰やジャム用にスモモを育てている場合は、実が熟する直前に収穫するようにします。生で食べる場合は十分熟させて、もいですぐに食べます。保存は数日しかできません。アンズの収穫は議論のあるところです。完熟するまえの少し硬い実を好む人もいれば、軟らかくてジューシーな実を好む人もいます。乾燥させたり、瓶詰にしたり、ジャムにしたりして保存できます。