第5章 装飾的植物: 寒さに弱い多年草

第5章 装飾的植物  DECORATIVE PLANTS



ఔ 寒さに弱い多年草 TENDER PERENNIALS ఔ




 庭で最高の植物は、私の考えでは、暖かい地方からきた寒さに弱い多年草でしょう。夏の間ずっとたくさんの花を咲かせ続けますが、最初の霜に倒れます。その多くは洗練された繊細な植物で、フレンチ・マリーゴールドやアフリカン・マリーゴールド、あるいは赤いサルビアのようなギラギラした派手さはありません。多少の余分な配慮は必要ですが、ほとんどは秋に挿し穂をして冬の間は霜に当てないように温室で管理すれば容易に根がでます。あるいは、秋に掘り上げて箱かポットに入れ、春に挿し穂をとることもできます。どちらにしても多少の余分な費用がかかりますが、その価値はあります。

 私はいくつかポットにも植えつけて、パティをを飾ったりするために大きく育てます。冬は温室に入れる必要があり、白状すれば、結構スペースをとります。もしスペースが限られている場合には、庭の中で一番寒さから守られる場所に置き、地中にポットを埋めるか粗布をまいてやります。そうしてやれば冬を無傷で乗り切ってくれると思いますが、万一のために少し挿し穂はしておきましょう。


アルギランセマム Argyranthemum

 高さ60~90cm。以前はキク属(Chrysanthemum)に分類されていましたが、その後別れました。中心が黄色で花びらが白いマーガレット(A. frutescens)のような植物も含みます。私がいちばん良いと思って育てているのは'Jamaica Primrose'で、夏の間じゅう素敵な暑さを感じさせない黄色い花を咲かせます。これなしではいられません。'Vancouver'という品種は半八重のピンクの花です。A. foeniculaceumは白い小さな花ですが、夏じゅうたくさんの花をつけます。ふつうのキク属と同じように扱って秋には掘り上げ、冬はポットや箱に入れて霜の降りない温室の中で管理し、春に挿し穂をしましょう。


キク属(クリサンセマム) Chrysanthemum

 花屋さんにあるふつうのキク属の花はこのタイプの庭にはあまり適さないのですが、切り花用としていくつか私は栽培します。花の色や形は何百種類とある中から選ぶことができます。花が咲いたあとは、切り戻して掘り上げ、箱に入れて霜の降りないところに保存し、春になったら挿し穂を取ります。


チョコレートコスモス Cosmos atrosanguineus

 高さは60cmほどの愛らしいダリアの親戚で、濃いえび茶色の花はチョコレートの強い香りがあります。日あたりを好み、地上部が枯れた後に上にマルチングしてやれば、暖かい場所では冬越しも可能です。しかし、掘り上げてダリアのような管状の根を霜の降りない場所に保存して、春に挿し穂を取ることもできます。ちょっと根が出にくいかもしれませんが、少し育苗器で加温してやれば大丈夫です。


ダリア Dahlia

 ほとんどのダリアはこの庭には強烈すぎますが、いくつか適した種類もあります。たとえばフジイロテンジクボタン D. merckii は小さな一重の中央が濃いえび茶色で花びらがライラック色の花を続けて咲かせます。その高さは90cmほどです。ほかのダリアと同じように秋には掘り上げて霜の降りないところで保存し、春に挿し穂をとります。


ユリオプスデージー Euryops pectinatus

 高さ60~90cmで、魅力的に分岐したグレーの葉をもち、鮮やかな黄色のキク科の花を夏じゅう咲かせます。冬を越すこともありますが、ダメな場合もありますので、危険を承知で屋外でそのままにしておいてもよいですが、秋に挿し穂は取っておきましょう。E. acraeus は草丈の低い種類で、ボーダーの前列や砂利の園路の縁に最適です。耐寒性ですが寿命は短いので、耐寒性のない植物として扱い、少なくとも2年に一度は挿し穂を取りましょう。


フクシア Fuchsia

 高さは30~60cmです。半耐寒性の品種のフクシアは育てる価値があり、私は90cmの茎の上にスタンダードにして庭の良いフォーカルポイントの植物になっています。これも秋に掘り上げて霜の降りないところに保存し春に挿し穂を取るか、あるいは秋に挿し穂を取っておいてそのまま植えっぱなしにするか、どちらかです。




ネペタ・ゴヴァニアーナ Nepeta govaniana

 高さは90cmで、日かげによい繊細で軽やかな植物です。背の高い開いた複数の花穂に黄色い管状の花が夏の間じゅう咲きます。種を取るのが容易なので、毎年種から育てるのがベストです。


 ニコチアナ・ラングスドルフィー Nicotiana langsdorfii

 高さは90cmで、自分でとった種から育てるもう一つの寒さに弱い多年草です。黄緑色の小さな釣鐘形の花が背の高い花穂に夏の間じゅう咲きます。


ハナタバコ Nicotiana sylvestris

 高さは120~150cmで、長い管状のトランペット形の純白の花を次々と咲かせる堂々とした植物で、花には強い香りがあります。毎年種をとります。


オステオスペルマム Osteospermum

 高さは品種により15~60cmです。日あたりを好む南アフリカ原産の植物で、いろいろな品種があります。'Buttermilk'は淡い黄色のでしべが茶色です。'Whirligig'の花びらは表が白で裏はブルーで、花びらが奇妙に波打っています。'Tresco Purple'は丈の低い品種で、花びらは濃い紫でしべは黒です。どの品種も秋には容易に挿し穂で増やすことができます。あるいはポットに掘り上げて、春に挿し穂をとります。




ペラルゴニウム Pelargonium

 高さは30~45cm。ゼラニウムは長期間の明るいディスプレイには欠くことのできない植物です。特にコンテナやハンギングバスケットで役に立ちます。花色は赤、オレンジ、ピンク、紫、白などいろいろあります。1月か2月に種をまいて簡単に育てられますが、それは高くつきますしうまくいくとは限りません。秋に挿し穂をとるのは簡単ですし、私はゼラニウムを冬越しするのはこれがいちばん良い方法だと思います。春に挿し穂が成長してきたら、それからさらに挿し穂をとることができます。


ソライロサルビア Salvia patens

 高さ60cm。ゲンチアン・ブルーの花が夏の間ずっと咲く美しい多年草です。塊茎を形成するので、これを掘り上げてダリアと同じように扱うことができますし、秋に挿し穂を育苗器で少し加温して育てることもできます。