第3章 庭づくりと栽培: 野生の花の草原


第3章 庭づくりと栽培 Construction and Cultivation 


ఔ 野生の花の草原 THE WILD-FLOWER MEADOW ఔ



 美しいグラス類は日陰ではよく育ちません。樹木と日光や水、そして栄養分を争いますが、必ず樹木にまけてしまいます。ですから現実的になって、最初からやめておきましょう。もちろん樹木の下でグラス類を育てることは可能ですが、うまくやるためには芝よりもずっと草丈を高めに保ち、刈る回数も少なくします。広い装飾的菜園での理想的な解決法は、野生の花の草原です。

 昆虫の成虫が花粉や花の蜜を求めて飛んでくる花に何らかの好き嫌いがあるのかどうかの証拠があるかどうかは私はらないのですが、繁殖期になると事情は異なります。卵を産む場所を探すときには昆虫たちはとても神経質になります。というのは、幼虫たちは特定の植物を食べるように適応しているからです。庭でその地方に住み着いている昆虫を惹きつけるには、その地方に生えている植物を植える必要があります。

 もちろん、その土地の種類の植物を植えるよい理由が他にもあります。農薬を使った農業が広がり、本当の野生の生息地が減っているため、野生の花も姿を消しつつあります。庭に代わりの野生植物の住みかをつくってやることは、野生植物の保存にも確かに貢献できると思います。ガーデナーが理解しておくべきもう一つの重要な点は、その地方の野生植物はとても魅力的だということです。


種まき Sowing

 グラスと野生の花の種のミックスをその方面の専門の種屋さんから入手することは可能で、たくさんの種類から選べます。あなたの庭の条件や土に合った種を選ぶことが大切です。種がミックスされたものが、粘土質、砂地、酸性の土、アルカリ性の土、湿った場所、日陰、さらには海岸沿いや森の中などそれぞれの条件に合わせて売られています。

 さらに、自分でグラスの種を買って、野生の花のミックス種を、グラス450gに花の種30gぐらいの比率で混ぜることもできます。

 芝の種まきの前の地面の下準備(本章の芝生の項を参照)のように土づくりをしますが、肥料は使いません。野生の花はもともとの生息地のようにやせた土を好むからです。1㎡当たり30gを蒔いて芝の種まきの時のようにレーキで軽く耕します。


維持管理 Maintenance

 最初の年には、野生の花がグラス類に完全に覆いかぶさられないように、グラス類を6~8週間ごとに刈り込みます。次の年からは10月になって花が終り種を落としてから切ります。こうすれば、一年草は生き残り、多年草は広がっていきます。切った後は掘り起こして取り除きます。

 年とともに花の数が少し変化していくのに気づくと思います。その場所の条件に合っていない種類はだんだん減っていって、そのうち消えてしまうでしょう。そして条件に合った種類は生き残って居場所を確保するでしょう。それでも長い期間にわたっていろいろな種類の花が咲きつづけるので、最良の方法は自然に任せることだと思います。


植付け Planting

 もしあなたの庭にすでに芝生があるなら、植物は小さなポットで育てて、大きくなってから地植えにするのが良いでしょう。すでにある草原にそのまま種を蒔いてから野生の花を育てるのを見たことがありますが、うまく行ったり行かなかったりで、高価な種をたくさん無駄にしてしまうことにもなりかねません。

 種まき用のトレイに3月に種を蒔いてコールドフレームの中であるいは外で発芽させます。根が十分に回って植え替えに適するまで大きく育ったら、7.5cmのポットに植え替えます。

 それぞれの庭に最も適した品種は、庭の場所や土の性質によって異なります。種屋さんのカタログを手に入れて、あなたの庭の条件にお勧めの種を使って下さい。