第3章 庭づくりと栽培: 植付けと種まき


第3章 庭づくりと栽培 Construction and Cultivation 


ఔ 植付けと種まき PLANTING AND SOWING ఔ



 装飾的菜園への植え付けと種まきはたいていは行き当たりばったりで行うことになります。少なくともそのように思っておいたほうがよいでしょう。しかし、ある程度は計画性も必要です。

 植え付けや種まきの方法、時期、植える間隔などの詳細は、それぞれ関係のある章に記載していますが、最初に必要な全体の概説をここに書いておきます。


永続的な植物の植え付け Planting the permanent plants

 最初に永続的な植物から植えていきます。しかしすべての樹木や低木、多年草を最初の年に植えてしまうと言っているのではありません。むしろ数年をかけて植えていくことをお勧めします。庭への植栽は急ぐ必要はありません。植物について学び、他のところの庭を見学し、色の連なりや魅力的な葉や花の品種を選ぶのに時間をかけたほうがよいでしょう。しかしもしあなたが最初に永続的な植物を入れてしまうつもりなら、一年草や野菜の種まきや苗の植え付けをする前に終らせるのがベストです。いずれにしても秋と春は樹木、低木、バラ、多年草、果樹などを植えつけるには最良の季節です。

 まず樹木ですが、植えつけるときには他の植物に及ぼす影響があることを念頭において下さい。樹木は必ず影をつくり、永続的に続く日光と水と栄養素の獲得競争をもたらします。これらは対処できないことではありませんが、計算にいれておく必要があります。例えばフェンスに誘引された樹木は庭の日当たりに影響しませんから、小さな庭ではそうやって庭には十分に日が当たるようにすることもできます。あるいは、南側に面した庭でしたら家に接して樹木を植えつければ、パティオのところだけが日陰になります。でも、日陰になる部分ができるのを怖がる必要はありません。装飾的な植物の中には日陰を好むものがあり、また野菜や果物の多くが日陰でもよくできるからです。日向に植えたときより少し収穫が遅れることが多いのですが、それでかえって収穫を長く楽しむこともできるでしょう。

 低木や草花は花壇の中央付近に植えつけます。花壇はインフォーマルなデザインですから園路から体を乗り出しても手が届かない場所が出てきます。そういう場所には野菜も育てにくく、あまり手のかからない低木や草花を植えつけるには最適な場所です。低木や低い果樹は深く根をはってある程度大きくなるまで他の植物に邪魔されない必要がありますから、植える前には時間をかけて十分に考えるようにします。他方、多年草は植え替えにもよく耐えますから、最初の年に場所を間違えたと思ったときには、掘り上げて別の場所に植えつけるのは何も問題はありません。

 花壇の中央への植え付けが終ると、園路から120cm以内の部分が残ります。背の高くならない草花や低木をここにも植えたいと思うでしょうが、一年草や野菜のためのスペースを必ず残すようにします。永続的な植物を点在させて、その隙間に野菜や一年草のためのいろいろな大きさのスペースを配置するという考えだからです。


一年草と野菜 Annuals and vegetables

 これが装飾的菜園方式が従来の方法と劇的に異なるところです。一年草はフォーマルにきちんと配列せずにインフォーマルに植えつけて、同じくインフォーマルに育てる野菜のスペースを確保しておきます。間に通路を作って長い列に植えつける従来の方法は完全に忘れて下さい。そんなことをしたらコテージ・ガーデンにはフォーマルすぎるし、何より犯罪的なスペースの無駄使いです。

 ここでは作物はたくさんの不整形の区画で育ちますが、例外もあって、区画内で行列させてうえつけることはあります。例えば、卵形のスペースにニンジンを植えつけるのを想像してみてください。細い棒を使って、5cmの間隔で浅い溝を作ります。正確にまっすく溝を掘るわけではないので、庭用のひもをつかう必要はありませんが、種をまく前に溝をつくらなくてはいけません。そうすれば、種が等間隔にきちんとまかれているかがはっきり見て取れます。種をまいて、土を被せて手のひらで押さえて終わりです。

 苗が十分大きくなってきたら、5cmの間隔になるように間引きをします。こうすれば利用可能なスペースを、従来法のように通路に30cmをあけて植えつけるよりもずっとたくさんのニンジンを植えられることにあなたも気がつくはずです。

 直接種をまくか苗を植えつけるかに関わらず、ビーツ、レタス、ターニップなどの野菜にもまったく同じ方法が使えますが、例外もあります。ラディッシュ、サラダオニオン、球形ニンジンなどは種をばらまいて、苗が育ってきたら大きいものから収穫していって、小さいのは残して大きくなってまた収穫します。

 ジャガイモの植え付けは、種芋を二、三個30cm間隔で移植ゴテで植えつけるだけです。アーティチョークのような大きなものは一つだけ植え付けます。花壇から立ち上がってきて立派な輝きをはなちます。それぞれの野菜の詳しい説明は第7章に書いています。


連続性を保つ Keeping the continuity

 もし自給自足に近い状態を小さい庭で望むなら、連続的に収穫を続けることが必要です。ある区画が空いたらすぐに他のものの種まきや苗の植付けをするのです。輪作することがこの庭では難しいため、同じ種類や仲間のもの野菜を植え続けないのが賢いやり方です。

 しかし、連続的に収穫を続けていくことは言うのは簡単ですが、実行はむずかしいものです。この方法に慣れるまでの最初の何年かはいつも苦労すると思います。しかし、簡単な方法も一つあります。

  それは、早春の時期は温室やコールドフレームを使い、その後はパティオを使って、たくさんの苗を育てることです。花壇の区画が空くまでの一種の「待機場所」として使うわけです。スペースが空いたらすでにある程度育てている苗を植えつければ、何週間かの待機期間を節約することができるのです。


整枝や剪定 Trimming and pruning

 このタイプのガーデニングは決して労力を省くものではないことを明確にしておきます。3つの庭の分の植物を1つの庭で育てようとすれば、たいていの伝統的な庭よりずっと手入れの時間を要するでしょう。草取りは少ないにしても、しっかり管理に抜かりがないように目を配り、容赦なくナイフや剪定ばさみを使わなくてはいけません。剪定、整枝、誘引はずっと続く仕事です。

 私の装飾的菜園での最初の失敗は大変勉強になりました。高山植物を植えた砂利の園路に沿って私はイチゴを植えてみたのですが、油断してしまってイチゴの葉が大きく育ちすぎて高山植物を覆ってしまったのです。ほとんどの高山植物は十分な日当たりが必要なのは当たり前で、次の年はかなりの数を再び植え付けなくてはいけませんでした。イチゴはずっと後ろに移植し、広がり過ぎないように気をつけました。どうぞ、皆さんも気をつけて下さい。



代表的な花と野菜のボーダー花壇の例
(図の説明) 各番号の植物名
1. ペチュニア
2. ロベリア
3. ビーツ
4. サラダオニオン
5. レタス
6. クリスマスローズ(春咲き)
7. ヒマラヤ・ユキノシタ
8. ゼラニウム(フウロソウの一年草)
9. リムナンテス(落とし卵草)
10. マフォニア・チャリティー
11. アジサイ
12. キャベツ
13. ロベリア
14. ターニップ
15. ヒペリカム・アンドロサエマム
16. ゼラニウム 'ジョンソンズ・ブルー'
17. ユーフォルビア・ロビアエ
18. フレンチ・マリーゴールド
19. ルバーブ
20. ディセントラ・フォルモーサ(ハナケマンソウ)
21. ホウレンソウ
22. レタス
23. 一年草のサルビア
24. ルビー・チャード
25. アジュガ 'バーガンディー・グロー'(キランソウの一種)
26. ヒューケラ
27. パセリ
28. フェンネル
29. ファセリア
30. ズッキーニ
31. ジャーマン・アイリス
32. ホスタ
33. カレックス・ペンデュラ
34. 一年草のセイヨウ・ヒルガオ
35. ベゴニア・センパフローレンス
36. サヤインゲン
37. ニラ
38. ダリア
39. カリフラワー
40. キンセンカ
41. コスモス
42. フロリバンダのバラ
43. ニンジン
44. ミヤマシキミ
45. アーティチョーク
46. ポテンティラ 'ギブソンズ スカーレット'
47. マリーゴールド
48. レタス
49. ラディッシュ
50. ツルコザクラ
51. ジャガイモ
52. タイム
53. アリッサム
54. タマネギ






種まきと植え付け

(図の説明)
1. 植え付け場所の準備は、まず少量の堆肥を広げます
2. 軽くフォークを使って耕し、レーキで表面を平らにならします
3. 種をまく場所に浅い溝を掘りますが、短い細い棒が便利です
4. 土が乾いているなら、必ず種をまくまえに水やりをして土の表面が硬くなるのを防ぎます
5. 種を粗くまきますが、指でつまんでまくのがベストです。乾いた土を被せて手のひらで押さえます
6. 苗の植付けでも同じように行い、行列させるよりひとかたまりに植えつけるようにします