第3章 庭づくりと栽培: 耕作


第3章 庭づくりと栽培 Construction and Cultivation 


ఔ 耕作 CULTIVATION ఔ



 自然では特に手を加えることなく見事に植物が育つのに、どうしてガーデナーは作物を育てるのに耕したり、肥料を入れたり、石灰をまいたり、水をやったりしなくてはならないのかと聞かれることがよくあります。答えは自然も同じように葉を落とし、植物を朽ちさせ、動物は糞をするなどしているわけですが、その割合は低いのです。自然が想定する10倍もの収穫を目指すなら、自然に学びながら同じことをずっとたくさん行うのです。

 装飾的菜園では、私たちはもう一段階先に進めます。ここでは多くの伝統的なガーデナーよりもたくさんの作物を、より間隔をつめてより高い頻度で栽培をします。それぞれの植物の栄養や水の奪い合いは大変ですから、ガーデナーは不足しないようにしなくてはなりません。つまり土をずっと持続的に最良の状態に保ち、はるかに多くのものをつぎ込むことを意味します。


深耕花壇法 The deep-bed method

この方法は長年に渡って発展してきたもので、私もおよそ20年ほど実験してきました。基本的にはスコップの刃の長さの2倍の深さで耕して定期的に家畜の糞や堆肥やその他のかさのある有機物を加える方法です。

 植物は幅の狭い区画に植えて、作業がすべで通路からできるようにし、決して土が踏み固められることはありません。そうすれば、その後は浅く耕しても根を深く張っていくことができます。そして密に植えても植物同士の競合を減らすことができます。横に広がるかわりに、下に根は伸びていくのです。

 肥沃で深い土のために、すぐ近くに植えても植物は育てられます。何年もに渡ってこの方法で収穫量がいつも2倍に、時には3ばいにさえ、なることが分かりました。

 装飾的菜園のボーダーはこの深耕花壇法の単なる延長です。唯一の違いは、形としてのフォーマルさが少ないことと、野菜だけでなく花も一緒に植えることです。


二段掘り Double digging

 農業分野で最近よく出てくるトレンドは掘って耕すのを最小限にしようというものですが、お金を節約するためではありません。深く耕すと地中の生物のじゃまをして自然のバランスを乱すことになるからです。しかし深い地中に根を張る空間がたくさんあるのは事実で、そこから栄養も吸収でき、固い土の水はけや通気性も改善すると考えられます。ですから私の結論は土は一度は深く耕すべきだということで、一度やっておけば10年以上は表層の一段掘りで十分です。

 一般に肥やしや廃物マッシュルーム堆肥、庭でつくった堆肥などかさのある有機物を混ぜ込めば十分です。しかし非常に固くなった土には粗い砂を混ぜ込むことで永続的な改善ができるでしょう。大きさが3~6mmの粗い粒を使います。普通の砂をいれると状況は悪化するので、決して入れないようにします。5cmほどの厚さで広げておいて耕しながら混ぜ込みます。

 有機物が土のすべての深さの層に分布するようにし、一般によく勧められる穴の底にのみ入れる方法はしないようにします。有機物を入れて深く耕すと土の高さが園路より少なくとも15cmぐらい高くする効果があります。こうすれば浅いところの水はけや通気も改善し、土は乾いて温まりやすくなりますから、植物が健康に育つのに適した土壌となります。




一段掘り Single digging

 花壇に足を踏み入れるのを許されるのは耕すときのみで、収穫の合間やシーズンの終りに限られます。その際には有機物がすべての深さに混ざるようにするのですが、この場合は手前の溝の向こうの斜めの土手の部分に広げるようにします。そうすれば植物がすぐに利用できる根の部分にうまく入れ込むことができるのです。

 ボーダーに永続的な植物をいったん植えたら、その根を痛めないように注意が必要です。従って、樹木や潅木、多年草、永続的な野菜や果樹などは邪魔しないようにしながら、一年草や野菜を植えるスペースも確保されるようにします。


収穫の合間 Between crops

 一段掘りは秋か春、シーズンの間に普通は行いますが、非常に肥沃な状態を維持しようと思えば、収穫の間でいつも再賦活化が必要です。収穫したあと苗を植えたり種をまいたりする前に肥やしや堆肥を薄くまいて骨粉や魚粉などを少量加え軽く耕します。




草取り Weeding

 植物を密植する利点のひとつは雑草が生える場所があまりなくなることです。もちろん草取りは少しは必要ですし、作物と成長を競い合うようなことを許してはいけませんが、土が軟らかいと雑草も手で簡単に引き抜くことができることに気づかれるはずです。草取り用のホーを使う必要はほとんどなく、まして除草剤などまったく不要です。


マルチング Mulching

 毎年シーズンの終わりには多年生の植物には5cmの厚さで堆肥などによるマルチングが栄養の供給と湿度の保持に役立ちます。1年草や野菜を植えるたびに肥料を加えることになるので、それ以上の肥料は不要です。




臨時の肥料 Extra feeding

 私が唯一臨時的に肥料をやるのは、絶対に必要かどうかは自陣はありませんが、生育が盛んな季節に2週間に1回庭全体に散布する海草からの抽出成分です。すべての植物が必要とする微量元素を補い、病害虫の予防にも役立ちます。植物の健康状態が改善されるのはまちがいなく、病害虫への抵抗力もつけてくれます。海草のアルギン酸が葉の表面をコートして、カビの胞子やたぶん害虫からも葉を守ってくれると信じています。