第2章 デザインとプランニング: デザイン


第2章 デザインとプランニング Design and Planning  


ఔ デザイン DESIGN ఔ


 庭づくりは、絵をかいたり作曲したりするのと同じような芸術の一種です。私たち誰でもが成功者となれる可能性がありますが、だからといって少しも芸術としての価値が下がるわけではありません。そして、芸術の基本中の基本は芸術というのは芸術家の個人的な表現だということですから、あなたの庭のデザインについて私が果たして何をアドバイスできるでしょうか。

 しかしながら、かのミケランジェロでも道具の使い方は人に学ぶ必要がありました。ですから、私のアドバイスは次の二つと思ってください。第一に、ある効果を出すための方法を示せればと思います。たくさんの専門的な技術がありますが、いずれも道具の使い方を学ぶようなことです。第二に、私が書いていることは、美しい菜園がどうあるべきかについての私の考えであるということを理解しておいて欲しいことです。

 もちろん、あなたはあちこちを変えてみたくなって私のアイデアを自分の庭にあてはめてみようと思うでしょう、美しい庭をつくることに成功したいと思うのなら、他人のアイデアをまねるのではなく、自分のアイデアで先に進む自信を持つ必要があります。結局は、あなたの庭についての話ですし、あなたがその庭と暮らしていくわけで、あなたの目から庭が美しく見えるのなら、他人がなんと言おうとその庭は確かに美しいのです。ですから、みなさんには私の方法をヒントにしてもらえばよいのです。決して決まった青写真ではないのです。


会員の資格 Membership qualifications

 美しい菜園の第一の重要なルールは、その中のすべてのものが美しく見えるものであるべきだということです。といっても、庭を設計する人の動機は美しいものを作ることですから、わざわざそう言うのも変かもしれせん。それはそうなのですが、菜園のガーデナーの最初の考えは必ずしもそうではありません。

 例えば、平均的な貸し農園では収穫量こそ王様です。ぐらぐらする木の構造物やトタン板、ポリエチレンなどがもし表彰もののタマネギを育てるのに必要なら、使ったらよいでしょう。また、もし堆肥を積んでおくのにいちばん便利な場所がちょうど庭のフォーカルポイントにあたるとしても、問題ありません。貸し農園の唯一の目的はできる限りたくさんの作物を収穫することですから、見栄えは重要ではないのです。

 しかし私たちの庭には二重の機能を果たしてもらう必要があります。良い作物がたくさんできて、しかもすばらしいく美しくみえることです。天気の良い夏の朝に寝室のカーテンを開けた時、たくさんの花や緑と羽ばたく昆虫たち、そして鳥の鳴き声があなたの望んでいることでしょう。それはいつでも堆肥の山を打ち負かすでしょう。

 ですから、すべての仕様について注意深く考えましょう。その庭での場所やつくられた材料は全体として庭とよく調和する必要があります。例えば、私の庭のデザインでは温室と東屋は同じ八角形になっています。両者とも実際にとても使いやすいのですが、できるだけ美しいデザインにすることも大切です。同じ形がお互いにマッチし、補足しあって、二階の窓から眺めた時に特に美しく見えるのです。

 庭の小道はボーダー花壇と調和させてつくられるので、一年後には敷石の間に植えられた植物が広がって事実上見えなくなってしまいます。植物を踏みつけないように小道を歩くのは時間がかかりますが、やむを得ずゆっくり歩くので小道のまわりを楽しむことができると思えばけっして欠点とも言えません。

 コンポストを入れる箱でも、たとえそれが温室の向こうに隠れていても、本物の木材でつくられていて魅力的に見えるのです。私には錆びた波型トタン板はありえないのです!

 庭のどのアイテムも庭全体の美に何かを加えることで居場所を得なくてはいけません。購入するお金をためるのには少し時間がかかりましたが、私のポットやコンテナはすべて本物の手作りのテラコッタです。もちろん、ルバーブを促成栽培するのにはブリキのバケツでも良いのですが、本物のテラコッタ製の促成栽培器のほうがずっと見栄えがするので、ルバーブの促成栽培が終ってからも目の保養のためにそのまま庭に置いています。もちろん、予算が足りなければ最初の数年はプラスチック製のものを使ってもいいでしょう。しかし、果物や野菜にかけるお金が節約できるので、時々は欲しいものも買えるようになるでしょう。

 私のクローシュ(つり鐘型ガラスおおい)は庭で使えるちゃんとしたものは自作しなくてはなりませんでした。早生の野菜栽培や、晩生の果菜類の成熟、冬の寒さからの保護などにクローシュはなくてはなりません。しかし私が庭をつくったときには見かけのよいものがなにもありませんでした。友人の庭でビクトリア時代のランタン型クローシュを見てしまったため、波型のプラスチック板を使うことがどうしてもできませんでした。そこで私は自分のものを急いでつくり、何とか恥ずかしくないものになったと思っています。

 庭に植える植物選びでも注意が必要です。たいていの果樹や低木はいろいろな形に誘引することでとても魅力的にすることができますし、たくさんの種類の野菜やハーブはもっと魅力的な形を得ることができます。例えば、斑入りのセージは普通の緑のものと同じように美味しいし、黄色いビートルートはあなたを失望させないし、赤いメキャベツは退屈な春野菜に高級感を与えます。


必要とするもの Requirements

 このタイプの庭をデザインする基本的な理由は、スーパーで売っているような値段が高いのに新鮮でなくて殺虫剤が使われているようなものに頼らずに自分で野菜や果物の大半を育てることを可能にすることです。ですから第一に必要なものは植物を育てるスペースです。でも、伝統的なデザインであなたが求める他のものを犠牲にしなければならない訳ではありません。さすがにスイミング・プールは無理でしょうが、パティオや芝生、池、木陰の腰掛け、こどものための砂場などをあきらめる理由は何もありません。

 ですから、デザインを書いていく前に最初にすべきことは、あなたが何を欲しいのかをはっきり決めることです。庭に欲しいもののできるだけ細かいリストを作りましょう。最初はなくてはならないと思うもののリストです。ゴミ入れを置く場所、物干しのための場所、そのうち役に立ちそうな庭のガラクタ(誰でも木材の切れ端や古いポット、種まきのトレイなど取っておいているものです)の置き場などもなくてはなりません。コンポストの容器や、自分で種まきしたりコンポストを保存したりするなら、それを混ぜるところも必要になります。

 二番目のリストには、あなたが欲しいものをすべて書き出します。このリストは長くなりがちですが、たぶん最終的には少し削っていくことになります。でも、思いつくことはみんな優先順に書き留めて下さい。

 最後にあなたの庭をオーガニックに育てるために必要なものを三番目のリストに書き出します。例えば池、堆肥置き場、入手可能なら厩肥の置き場などです。温室もとても望ましいし、普通の庭より多目の通路も必要になります。

 リストができたら3つのリストのすべて、あるいは少なくとも2つのリストに、あまりに沢山の項目があることにあなたはたぶん驚くことでしょう。パティオは欲しいもののリストにあるかもしれませんが、植木鉢や植え付けを待つ植物の入った箱などを置いておく硬い地面が必要になるので、なくてはならないもののリストにも入ってくることでしょう。池はぜい沢と思われるかも知れませんが、害虫対策に役立つ野生動物に頼るオーガニックなシステムには欠かせないものでもあります。